ゲリラ雨とは

ゲリラ雨は集中豪雨とも呼ばれています。
 
「ゲリラ」はもともと軍事用語ですが、「無許可で少人数かつ短時間で行うこと」という意味があることから、限られた地域において短時間に多量の雨が降る集中豪雨を、最近になりゲリラ雨やゲリラ豪雨と呼ぶようになりました。
 

気象学ではゲリラ雨に関する明確な定義はありませんが、一般的に直径10キロメートルから数10キロメートルの範囲内で、1時間に50ミリを超える雨の量を目安にこう呼ばれています。

雨や台風などは天気図によってある程度予測が可能ですが、ゲリラ雨は現在の予報技術では正確に予測することは困難です。
 
そのため過去にはゲリラ雨への対策が遅れ、大きな被害につながったこともあります。
 

ゲリラ雨は地形によっては土砂流、崖崩れなどを起こし、河川では増水や氾濫などを招きます。特に近年は都市化の進行によって、ゲリラ雨の被害は家屋の浸水や道路の冠水にまで及び、住民の生活に直接関わる被害を出しています。

ゲリラ雨は予測が困難なものの、天気図によって発生しやすい大気状態かどうかを判断することは可能です。

ゲリラ雨が多くなる梅雨末期や台風の季節には、特に毎日の天気予報に気をつけることが大切です。
 
ゲリラ雨は数時間前には兆しが見えてくるため、テレビやラジオ、インターネットなどで最新の状況を確認することによって被害を抑えることにつながります。
 
そして住んでいる地域の地理の特性や、過去の自然災害をあらかじめ把握しておくことも重要なことです。

ゲリラ雨の自治体による対策

ゲリラ雨による被害で毎年多くの命が奪われています。
 
ゲリラ雨から尊い命を守るためには、住民一人一人が十分注意するとともに、国や自治体を挙げて十分な対策を投じることが必要です。

ゲリラ雨は河川を急激に増水させ、河川の破堤や越流を引き起こします。
 
河川の越流によって家屋の浸水や道路の冠水などの被害が増大します。
 
そのため自治体による対策では河川の拡幅や浚渫などが重要な課題となっています。

また短時間に雨水が河川へ流入しないためには、雨水を一時的に貯留するための調整池が大きな役割を果たします。
 
そのため各自治体では調整池の整備を進めるとともに、新たな宅地開発の際には調整池の設置を開発者に求めています。

さらに都市化の進行によって地下鉄やビルの地下空間などが増えています。
 
地下空間はゲリラ雨の発生時には恐ろしい空間となります。
実際にビルの地階への浸水により犠牲者が出たことは記憶に新しいでしょう。

このような事態を防ぐため、自治体によって地下空間への浸水防止対策が進められています。
 
同時に地下空間からの避難体制を整備し、ゲリラ雨の発生時には迅速に避難できるような態勢作りも重視されています。

ゲリラ雨による被害では土砂災害によるものも多く発生しています。土砂災害の危険のある区域では自治体による防止工事とともに、避難体制の整備が図られています。
 
また、危険区域での開発行為の制限や、移転勧告なども行われています。

ゲリラ雨による被害はそれぞれの地域の地理の特性によって異なります。
 
そのため自治体がそれぞれ過去の自然災害から学び、その地域に必要な対策を投じることが求められます。

ゲリラ雨と都市

都市部における市街化はゲリラ雨による被害をより深刻なものにしています。

最近増加しているゲリラ雨は、街の下水道の排水能力を大きく上回る雨量をもたらします。

市街地の排水設備は一般的に1時間50ミリ前後の雨量を想定していますが、これを超える雨量の場合には排水路などに溢れることになります。
 
田舎のように土や田んぼの地面なら雨水を吸収してくれますが、アスファルトやコンクリートで舗装された地面では雨水が地中へ浸透していきません。
 
これによってますます雨水が道路や街に溢れることになるのです。

また近年では地下鉄、地下街、地下駐車場などのように、地下空間を利用した施設が増加しています。
 
雨水は当然低い方へ流れていくため、ゲリラ雨の発生時には地上で溢れた雨水が地下へ一気に流れこみます。
 
実際にゲリラ雨によって、地下駐車場の自動車冠水や、死亡事故も起きています。

さらに現代は都市部を中心に電車や地下鉄などの交通機関や、電気、ガス、電話などのライフラインに頼りきった生活をしています。
 
ゲリラ雨はこういったライフラインに被害を及ぼし、都市機能を完全に麻痺させてしまいます。

ゲリラ雨の発生は都市部におけるヒートアイランンド現象と深く関わっていると言われます。
 
実際にゲリラは都市部で多く発生し、田舎や高地や高山ではあまり起こりません。
 
ゲリラ雨は今後も増えていくと考えられますが、それだけに都市部では早急に対策を進めることが求められています。

ゲリラ雨と地球温暖化

近年問題となっている異常気象の一つにゲリラ雨の増加がありますが、ゲリラ雨の増加は地球温暖化と深い関わりがあるということが指摘されています。

地球温暖化とは大気中に二酸化炭素などの温室効果ガスが増えることによって、地球の平均気温が上昇し過ぎることをいいます。

この地球温暖化は18世紀の中頃、産業の発展とともに大量の石油や石炭を消費するようになったことから始まったと言われています。
 
石油、石炭の大量消費は膨大な二酸化炭素を排出し、19世紀になると家庭における電化製品の普及や森林の減少がさらに追い打ちをかけたのです。
 
こういったことから大気中の二酸化炭素の量は急増し、温暖化が急激に進みました。
 
その結果この100年で地球の平均気温は約0.6度、日本の平均気温は約1度も上昇したと言われています。

地球は本来わずかな気温の変化でもバランスを崩し、環境や生命へ影響を及ぼすものです。
 
近年における地球の気温上昇は、海水の熱膨張や氷河の融解など、地球の水資源へ大きな影響を及ぼしています。
 
それが今日至る所で増加している干ばつやゲリラ雨だと考えられています。
 
つまり地球温暖化が大気や海洋の循環に影響を与えたことによって、近年ゲリラ雨が増加しているということになります。

ゲリラ雨と地球温暖化の関連メカニズムはまだはっきりと解明されていません。
 
しかし地球温暖化が自然環境に大きな影響を与えていることに違いはなく、それによって人間の生命までも影響を受けることになるのです。

ゲリラ雨と発生のメカニズム

ゲリラ雨の発生するメカニズムは、まだ十分解明されてはいません。
 
しかし近年さまざまな研究により、少しずつ解明されつつあります。
 

ゲリラ雨を発生させているのは積乱雲です。
 
さまざまな原因によって発達した積乱雲が積み重なることによって局地的な大雨をもたらしているのです。
 

夏場になると地上付近と上空の温度差によって大気が不安定になります。
 
そこでその不安定を解消しようとして生まれる上昇気流によって積乱雲が発生します。
 
そして前線や集風線、大気の状態によってもさらに積乱雲は発達します。
 

よってゲリラ雨が梅雨期や台風の接近時などに多く発生するというのは、大気が不安定になることが原因なのです。

積乱雲の中では雨粒ができます。そして下流気流が起きて大雨を降らせながら積乱雲は衰退していきます。このような積乱雲が次々と発生し、一か所に雨をもたらすとゲリラ雨となるのです。

近年ゲリラ雨の発生は増加しています。その原因の一つには地球温暖化の影響が考えられています。地球の平均温度が少し上がることによって、地球の環境が大きく変わろうとしているのです。

また、最近では都市部でゲリラ雨の発生が増加しています。
 
都市部で暖められた空気が上昇気流となり、海から湿った空気を呼びます。
 
そしてヒートアイランドによる熱で積乱雲の発達を助長し、ゲリラ雨が起こるというメカニズムになっています。
 
このように、都市部のヒートアイランド現象がゲリラ雨を発生させる原因であるという説が、近年有力視されています。

ゲリラ雨と近年の災害

ゲリラ雨の発生は近年増加しており、各地で大きな災害を引き起こしています。

2000年9月には愛知県名古屋市周辺で東海豪雨が起こりました。このゲリラ雨では多数の犠牲者や家屋への被害が出ています。
 
この地域では伊勢湾台風以来の大水害となり、都市型水害の恐ろしさを日本中に知らしめたゲリラ雨となりました。

2003年7月には九州地方でゲリラ雨が発生し数名の犠牲者を出した他、土砂災害などで多数のけが人を出しています。

2004年7月には「新潟、福島豪雨」、その5日後には「福井豪雨」が発生しました。その災害規模が大きかったことから、気象庁により正式に命名されています。
 
いずれのゲリラ雨も少なからず犠牲者を出し、また家屋の倒壊も多く、復興費用や災害で発生したゴミ処理費用などで、自治体財政に大きな打撃を与えたと言われています。

翌年2005年9月には埼玉県から神奈川県にかけて台風の影響によるゲリラ雨が発生し、宮崎県でも多数の死者や浸水被害を出しました。
 
この災害は「宮崎水害」と呼ばれています。

2006年7月には偏西風や台風の影響でゲリラ雨が起こり、南九州や北陸、長野、山陰地方など広い地域で被害を出しました。
崖崩れや土砂崩れで多数の犠牲者を出しています。この災害は気象庁により「平成18年7月豪雨」と命名されています。

2006年8月には大阪府豊中市を中心にこの地域の観測史上最多のゲリラ雨が起こり、家屋の浸水、道路の冠水などの被害を出しています。

記憶に新しい近年のゲリラ雨災害だけでも、改めてその発生の多さに驚いてしまうことでしょう。

ゲリラ雨と異常気象

近年世界中で異常気象が増加しています。
 
異常気象には集中豪雨や干ばつ、黄砂、台風の巨大化や竜巻、ハリケーンの増加などがあります。
 
こういった異常気象は現在世界的な問題となっている地球温暖化との関連性が指摘されています。

集中豪雨は日本でも毎年夏場になると頻発し、ゲリラ雨という呼び名が定着しつつあります。
 
ゲリラ雨は河川の増水や土砂崩れ、家屋への浸水、道路の冠水などさまざまな被害をもたらし、私たちの生活を混乱させます。
 
世界でもゲリラ雨のもたらす被害は大きく、家自体が流され、屋根で救出されるのを待つという状況も実際に起こっています。
 

その一方で干ばつが起きている地域もあります。干ばつによる日照りが続けば水不足になり、農業や家庭での生活水が十分に得られなくなります。

黄砂とは東アジアの砂漠地域から強風により黄砂が舞い上がり、日本などの周辺諸国へ降下する現象です。
黄砂は農業や生活環境に被害を与えるだけでなく、雲の発生、降水などを通じ、世界の気候にも影響を及ぼしています。

竜巻やハリケーンは発達した積乱雲の底から柱状にはやい速度で回転する空気の渦ができることを言います。
 
地面や水面で発生し、都市部で発生すると被害も大きくなります。
 
日本では年間平均12本程度の発生ですが、世界では年間平均数百本発生するという国もあります。

日本ではゲリラ雨の被害が相次いでいることから、ゲリラ雨の予報技術や防災への関心が高まっています。

ゲリラ雨とヒートアイランド現象

ゲリラ雨を発生させている要因として、都市部におけるヒートアイランド現象との関連性が指摘されています。

ヒートアイランド現象とは特に夏場の都市部において、周辺地域よりも気温が高くなることを言います。
 
その原因にはビルやマンションのコンクリート壁面からの放射、アスファルト地面からの放熱、自動車や建物のエアコンの放熱など、さまざまな原因が考えられます。
 
さらに都市部には樹木が少ないため、一度上昇した気温は低下しにくい環境になっています。

ヒートアイランド現象は19世紀頃には既に世界中の都市部で確認されていました。
 
現在、東京では周辺地域と比較して年間平均気温が3度も高くなっていると言われています。
 
また、熱帯夜日数はこの30年間で2倍以上に増加していると言われています。

このヒートアイランド現象は単に気温を上昇させているだけでなく、自然界にもさまざまな影響を与えています。その一つが気象であり、近年増加しているゲリラ雨の増加現象なのです。

そのメカニズムとは都市部で暖められた空気が上昇気流となり、海からの湿った空気を呼びます。
 
そこへヒートアイランド現象による熱が積乱雲の発達を助長することで、ゲリラ雨が起こるというものです。

ヒートアイランド現象の要因の一つであるアスファルトは、ゲリラ雨が起こっても雨水が地中へ浸透せず、家屋や道路の浸水の原因ともなります。

このようにヒートアイランド現象は都市化が生んだ現代の深刻な環境問題と言えるのです。

ゲリラ雨と天気予報

日本で明治17年に初めての天気予報が発表されて以来、天気予報は最も身近な情報番組として定着しています。

現在、天気予報の技術は飛躍的な進歩を遂げ、精度の高い予報が可能になっています。例えば降水予報なら、「明日予報」では85%程度、「明後日予報」では83%と高い的中率になっています。
 

しかし降水予報の中でも、ゲリラ雨に関する予報はまだ難しいのが実情です。

ゲリラ雨は梅雨や秋雨前線、台風など温かく湿った空気が流れ込むことによって発生しやすくなります。
 
このような大気の状態は天気図によってある程度予測ができます。
 
しかしゲリラ雨は積乱雲の中で起こる現象の結果であるため、何時頃どの地域で起こるかということを正確に予測することは難しいのです。

そのためゲリラ雨の予報は、数値予報を基に各地の気象台で雲の観測やレーダー、降雨状況などを併せて行われます。
 
この予報を基にゲリラ雨や洪水に関する注意報、警報などが発表されることになります。

またレーダーやアメダス解析を基にコンピュータで計算し、1キロ四方ごとに6時間先まで1時間雨量を予想することが可能になっています。
これは防災機関やテレビの実況予報として放送されています。

さらに2004年からは「降水ナウキャスト」によって、1キロメートル間隔で10分間隔、1時間先までの予測が発表されています。

ゲリラ雨の予報技術まだ研究段階にあります。今後さらなる予報技術の進歩によって、ゲリラ雨対策の有効な情報源となることが期待されます。

ゲリラ雨と気象庁

近年ゲリラ雨による災害が増加し、多くの犠牲者を出しています。ゲリラ雨による被害を最小限に抑えるためには、ゲリラ雨に関わる情報ができるだけ早く人々に伝わることが重要だと考えられます。
 

日本で気象を予報する最大の機関は気象庁です。毎日私たちが見ている天気予報の多くは気象庁によって予測されており、私達の生活に深く関わっている機関といえます。

気象庁は近年のゲリラ雨による災害を受けて、さまざまな対応を行っています。

まず雷注意報によるゲリラ雨への注意です。雷が発生する大気の状態ではゲリラ雨が発生しやすいことが分かっています。
 
雷注意報が発令されている場合には天気予報の中でゲリラ雨に対する十分な呼び掛けを行い、人々の防災意識の高めるように促しています。

また気象庁では天気予報以外に防災情報を発信しています。
 
しかしこれまで防災情報は有効に活用されていないというのが実態でした。
 
そこで貴重な情報を有効に活用するために、今後は防災情報の利用促進が図られる見通しです。その一つにガイドラインの作成があり、できるだけ早い時期の実現が期待されています。

近年は天気予報技術が進歩し、精度の高い予測が可能になっています。
 
しかし毎日の天気や台風などは予測できても、竜巻や突風、ゲリラ雨などの予報はまだ難しいのが現状です。

気象庁ではゲリラ雨の予測に役立つものとして、きめ細かい降水予測を「降水ナウキャスト」によって発信しています。

今後さらに気象庁による予測技術が進歩し、ゲリラ雨の災害防止に役立てられることが期待されています。
テクノラティプロフィール